電源関連機器

電源関連機器

電源とは、電子部品を動作させるために必要な電圧・電流を供給する部分のことです。一方、電源関連機器とは、電源を使って電子部品に適切な電圧・電流を供給する機器のことです。例えば、交流から直流に変換する機器や直流から交流に変換する機器、電子負荷装置、蓄電池などはいずれも電源関連機器に分類されます。

電源関連機器はどのようなときに必要な機器か、またどのような種類があるのかまとめました。電源関連機器を使用するメリットや活用事例、よくある質問についても紹介するので、ぜひご覧ください。

電源関連機器とは

電源関連機器とは、電子部品に電圧・電流を供給するために使用する機器のことです。電子部品に電圧・電流を供給する機能部を電源と呼ぶため、その周辺機器は電源関連機器とまとめて呼ぶことがあります。

例えば、家庭やオフィスにあるコンセントには、発電所から直接電気が供給されています。この電気は交流100Vです。しかし、ほとんどの電子部品は直流で、1.8Vや3.3Vなどの低電圧の状況下で動作をします。電源関連機器を使い、交流を直流に、高電圧を低電圧に変える必要があるのです。

また、状況によっては直流を交流に変換する、低電圧を高電圧に変換する、電気を貯めるなどのさまざまな変換が求められます。必要な変化を実現する電源関連機器を用いることで、電気を適切かつ安全に使用しましょう。

電源関連機器の呼び方

なお、電源と電子部品の間に設置し、電流や電圧に何らかの変換を加えるものなら、すべて電源関連機器です。しかし、電源に直接つないで使用することから、電源関連機器が電源であるかのように見えることもあるため、電源関連機器を「電源」と呼んでいるケースもあります。

また、電源に直接つないだ装置という意味を込めて、電源関連機器を「電源装置」と呼ぶことも少なくありません。どのような機器を「電源関連機器」と呼ぶのかについては明確な決まりがないため、分類や呼称はメーカーや販売店によって異なる点に注意しましょう。

電源関連機器の種類

電源関連機器の用途は多岐にわたります。電流や電圧を特定の状態に変換する機器や、電気機器の状態をテストする機器など、メーカーや販売店によって取り扱う機器も異なりますが、分類も異なるので注意が必要です。

一般的に「電源関連機器」に分類されることが多いものとしては、次の種類が挙げられます。

  • 電源アダプタ
  • 電子負荷装置
  • 蓄電池
  • 双方向電源
  • バッテリーテスト機器

種類ごとの特徴や役割、使われるシーンなどについて説明します。

電源アダプタ

「電源アダプタ」とは、電源につないで電子機器に適した電流・電圧に変換する機器のことです。例えば、スマートフォンを充電するときは、コンセントに電源アダプタを挿し、電源アダプタとスマートフォンをつないで、スマートフォンの中に適切な形の電気が入り込むようにします。

電源アダプタは、電子機器につないで使うものが多くあります。例えば、デスクトップパソコンの電源コードをご覧ください。コンセントに挿す部分の近くに、箱状のものがついていることが多いでしょう。

これも電源アダプタの一種で、別途電源アダプタを準備しなくてもパソコンに適した電流・電圧が使用できる仕組みになっています。電源アダプタは役割ごとに次の種類に細分化されることもあります。

AC/DC電源

ACとは交流、DCとは直流のことです。交流を直流に変換する目的で使用する電源アダプタを「AC/DC電源」と呼んで区別することがあります。

電子機器は直流で動くため、発電所から交流が供給されているコンセントに接続するには、直流に変換しなくてはいけません。AC/DC電源を用いて、電気を適切な状態に調整します。

スイッチング電源

「スイッチング電源」はAC/DC電源の一種ですが、交流を直流に変換する際に、スイッチング方式と呼ばれる仕組みを利用している点が特徴です。AC/DC電源では、従来は「リニア方式」と呼ばれる仕組みが主流でしたが、現在ではスイッチング方式を利用しているものが多く、小型化・軽量化の実現につながっています。

DC/DC電源

「DC/DC電源」とは、直流を供給している電源に電子機器をつなぎ、電圧のみを変換する機器のことです。電子機器によって適切な電圧が異なるため、DC/DC電源を用いて調整します。「DC/DCコンバータ」や「変圧器」と呼ばれることもあります。

電子負荷装置

エネルギーを出力する機器の特性を測定するときには、エネルギーを消費するための負荷が必要です。複雑な負荷が必要になるときは、可変抵抗では対応できないため「電子負荷装置」を用います。

電子負荷装置は半導体を用いて電流・電圧を自由に変化させることが可能です。また、単体では使用できないため、制御回路に電子負荷装置を組み込んで使用することが一般的です。

蓄電池

「蓄電池」とは電気を蓄えるための装置のことです。例えば、太陽光発電システムで作った電気を家庭用蓄電池で蓄え、電気が必要なときや災害時に使用することがあります。

蓄電池は電池の一種ですが、充電と放電を繰り返し行えることが特徴です。単に電池と呼ぶときは、放電のみできる仕組みを指し、蓄えられた電気をすべて使用すると廃棄します。混乱を防ぐために、放電のみの電池を「一次電池」、充放電できる蓄電池を「二次電池」や「バッテリー」「充電池」と呼び分けることもあります。

双方向電源

「双方向電源」とは、直流電源と直流電子負荷の両方の機能を持つ機器のことです。「回生型直流電源」と呼ばれることもあります。

双方向電源では、接続を切り替えることなく蓄電池の充放電テストを行うことが可能です。また、模擬的に充放電できるため、バッテリーの標準機能の代わりとして使用することもあります。

バッテリーテスト機器

充放電を繰り返せることがバッテリーの特徴ですが、残量がわからないときは、充電が必要かどうかを判断できません。バッテリーの残量を調べる機器が「バッテリーテスト機器」です。バッテリーテスト機器以外にも、「バッテリーテスター」と呼ばれることがあります。

バッテリーテスト機器は、バッテリーに負荷をかけて電圧応答をモニタリングすることで充電残量を視覚化します。家庭用蓄電池などにはバッテリーテスト機器が予め組み込まれ、パネルなどで常に残量を調べられるようになっていることが多いです。

電源関連機器のメリット

電源関連機器は、それぞれ使用することでメリットを得られます。電源関連機器の中でも使用頻度が多い電源アダプタと充電池に注目し、それぞれのメリットを紹介します。

電源アダプタのメリット

電子機器に適切な電流・電圧を送るためにも、コンセントに流れる電流・電圧を適切な状態に変換する必要があります。しかし、電子機器内に電流・電圧を変換する機能を組み込むと、電子機器自体が大きく重くなり、持ち運びが不便になってしまいます。

電源アダプタがあれば、電子機器自体に電流・電圧を変換する機能を組み込む必要がなくなり、機器の軽量化・小型化を実現できます。スマートフォンやノートパソコンなどの持ち運びが必要な電子機器には、電源アダプタは必須といえるでしょう。

また、電源アダプタは比較的短寿命です。電子機器に組み込むと、電子機器自体に問題がなくても早期に買い替えが必要になるかもしれません。外部機器として電源アダプタを組み合わせることで、電源アダプタの寿命がきても電子機器をそのまま使用できるようになります。

蓄電池のメリット

蓄電池は回数無制限で充放電できる機器ではありません。何度も充電・放電を繰り返すことで寿命になり、使用できなくなることがあります。

着脱可能な蓄電池(バッテリー)を搭載した電子機器であれば、たとえ蓄電池(バッテリー)の寿命がきても、蓄電池(バッテリー)を交換することで電子機器を使用し続けることができます。

活用事例

回生電子負荷装置で地球にやさしい電力回生を実現

最高92%の高効率で入力された直流電力を商用電力(構内)へと電力回生する電子負荷装置は、従来の電子負荷装置よりも熱損失を大きく抑えられます。そのほか、製品を小型・軽量化できるだけでなく、試験の電力消費を大きく抑えることが可能です。電子負荷装置を回生型にするだけで、信頼性試験などの試験でのランニングコストは試験電力・冷却における空調電力において、約1/10に抑えられます。

DC電源アナライザで自動測定

DC電源アナライザは、モジュール(DC電源/電子負荷/SMUなど)を組み合わせて搭載できるモジュラーシステムです。デジタルマルチメータ(DMM)、データロガー、オシロスコープといった高度な解析機能とシーケンス制御が行える電源供給能力、任意波形発生器などを兼備しています。これらの統合によりテストニーズ(電源回路、電源ユニット、バッテリーDC-DCコンバータなど)に応じて最適なカスタム自動測定ソリューションを構成可能です。

交流電源を遠隔でモニタ&コントロール

実験室などに設置した交流電源にSIMカードを内蔵したLTEルータを接続し、専用WEBアプリケーションを介すことで交流電源の稼動状態をチェック可能です。オフィスや在宅ワーク中など試験現場から離れていてもご利用できます。LTE回線など必要なものを用意しているため、すぐに使用可能です。

質問集

ワイドレンジ電源とは何ですか?

規定している定格電力内で、電圧/電流を任意に設定可能な直流安定化電源のことです。電圧を高くとれば電流は小さくなり、電圧が低ければ電流はたくさん流せます。一般的な直流安定化電源は、規定された電圧と電流内でしか供給できませんが、ワイドレンジ電源は規定された電力内で自由に電圧/電流が供給できます。ズーム電源とかオートレンジ電源という名称で販売しているところもあります。

電源回路を小型高効率化できますか?

電源関連回路の開発・設計・試作・量産サポート、教育用教材等、様々なニーズに対応できるところがあります。アナログ回路設計、トランス設計・試作、デジタル設計(PLD、DSP、MPUを使用したデジタル回路設計および、アナログ制御を含むプログラム設計)、基板設計(基板レイアウトの最適化)に対応しています。設計資料として回路図・基板図面・部品表のほかにも、トランスなどの設計書やシミュレーション結果も作成。装置のノイズ対策などのサポートも対応します。

超小型の直流回生電源はありますか?

次世代パワー半導体SiC を採用、業界最高峰の小型・軽量化を実現した直流回生電源があります。コンパクトサイズでありながら、5kW 単位で組み合わせられ、幅広い用途に柔軟に使用できます。パワーエレクトロニクス機器の試験/ 評価用の電源として、また設備組込用途でも使用できます。レンタルサービスもありますのでご活用ください。

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