画像検査

画像検査

品質の高い製品を出荷するのに欠かせない製品や部品の検査ですが、人間がおこなうと人件費がかかったり、ミスが起きたりします。そこで最近幅広い分野で導入が進んでいるのが、カメラで撮影した画像を機械で処理する画像検査です。画像検査には人件費が不要、検査精度が一定、製造能力の増減が容易など、さまざまなメリットがあります。本ページでは、画像検査とは何か、活用事例などについて解説します。製品の選定にお役立てください。

画像検査とは?

まずは画像検査とはどのようなものなのかについて解説します。

画像によって不良品や不具合を検出するための方法

画像検査とは、その名の通り画像を使って製品を検査し、不良品や不具合を見つけ出すための方法です。

たとえば電化製品を購入した際、汚れや傷があれば購入者からクレームが来るでしょう。また、部品の1つ1つが寸法通りに作られていなければ製品を正しく動作させることはできません。

そこでカメラを使って製品や部品の外観を撮影し、不良品や不具合を見つけることで製品の品質を向上することができます。

X線やCT、MRIも一種の画像検査

画像検査をおこなうのは製造の現場だけではありません。人間ドックや健康診断でおこなわれるX線やCT、MRIによる診断も一種の画像検査といえます。

これらの診断では内臓や骨の画像が正常な状態と異なるかどうかを医師が確認し、診断を下すのが一般的です。

製造の現場では自動的な画像検査が使われる

これに対して製造の現場で用いられる画像検査は、コンピュータ処理によって画像から自動的に不良品や不具合を検出するのが一般的です。

また、最近ではAIやディープラーニングといった技術を利用した画像検査も使われています。

人間ではなくコンピュータによって検査をおこなうことで、素早くかつ疲れ知らずで大量の検査をこなすことが可能です。

画像検査に必要な機材

画像検査をおこなうのに必要な機材を紹介します。

ライト(照明)

画像検査では対象物をきれいに撮影するため、適切なライトが欠かせません。光量が足りなかったり、光を当てる角度が適切でなく影ができたりするとうまく処理できないことがあるでしょう。

光源にはLED、蛍光灯、ハロゲンなどがあります。

レンズとカメラ

対象物を撮影し、処理可能なデジタルデータに落とし込むにはレンズとカメラが必要です。

解像度や倍率、焦点距離、色といった画質に関わることはもちろん、位置や角度などの設置方法についてもしっかりと検討する必要があります。

画像処理ソフトウェア

正しく画像検査をおこなえるかどうかは、画像処理ソフトウェアの質にかかっています。用途に応じてさまざまな画像処理ソフトウェアが存在していますので、必要な機能や精度を備えているかどうかを確認して選びましょう。

最近はAIを利用した画像処理ソフトウェアが多く登場しており、従来よりも高い精度かつ柔軟な機能を備えています。

万能でない点には注意

後述のようにさまざまなメリットがある画像検査ですが、決して万能ではない点には注意が必要です。

画像検査が検出できるのはあらかじめ設定あるいは学習された内容だけであり、柔軟に対応することはできません。ある日突然検査内容が変わっても人間ならある程度は対応できますが、画像検査の場合再設定や再学習が必要になります。

また、画像検査は単純あるいは明確な検査内容には強いですが、複雑あるいは曖昧なものは設定や学習が難しく、人間のほうが得意なこともあるでしょう。

画像検査システムの設置や設定、学習ができる人間を雇ったり育てたりする必要もあります。

画像検査の種類

画像検査と一口にいっても、さまざまな種類が存在します。

インライン検査とオフライン検査

製造の現場における画像検査のやり方には大きく分けて、インライン検査とオフライン検査があります。

インライン検査とは製造ラインを止めずに、ラインの流れのなかでチェックをおこなう方式。ラインすべてにカメラや画像を処理するシステムを設置すれば効率的に全数検査をおこなうことが可能です。

ただ、ラインを止めずに画像検査をおこなうには、ラインの数だけ設備を用意する必要があるほか、それぞれのラインの設備もラインの速さに見合う高速処理が可能なものが求められます。このため、導入コストは比較的高額になるでしょう。

一方、オフライン検査は製造ラインの外で画像検査をおこなう方式。ラインを止める必要がないため検査に時間をかけることができ、インライン検査よりも検査項目を増やしたり、より精密な検査をおこなったりできます。

ただ、ラインの外でおこなうため全数検査には向きません。検査するロットを限定したり、ランダムにピックアップしたりする必要があるでしょう。

画像検査で検出できる不良や不具合

画像検査で検出できる不良や不具合は多岐にわたります。その例をご紹介しましょう。

割れ、かけ、バリなどの製造不良

製造の現場でよく起こる製造不良は画像検査で検出可能です。

割れ、かけ、バリや破れなどを検出することで不良品の出荷を防ぐことができます。

かすれなどの印刷不良

動作に直接影響はなくとも、印刷不良が起こるとその製品は不良品扱いされます。

画像検査なら印刷の有無はもちろん、かすれや印字ミスも検出することが可能です。

変色や汚れ、異物の付着

形に問題がなくても、色がおかしかったり、汚れや傷、異物がついていたりする製品を出荷することはできません。

画像検査はこれらを検出することもできますので、幅広い分野で役立つといえるでしょう。

画像検査のメリット

画像検査を導入するメリットについて解説します。

検査精度の均質化

不良や不具合は人間でも検出可能ですが、その質は人間によってばらつきがあります。ベテランであれば機械よりも高い精度で検出できるかもしれませんが、経験が浅い場合は見落としが多く発生する可能性があるでしょう。

また、人間の検査精度はその日の体調や疲れによっても左右されます。

画像検査であれば同じシステムを使うことでまったく同じ精度で検査が可能です。また、疲れることもないため、一定の精度で検査し続けることができます。

見落としの防止

どれだけ優秀な人間であっても、ミスがないことはあり得ません。不注意などで不良や不具合を見落としたり、検出後の処理を間違えたりすることもあるでしょう。

画像検査の場合はインプットされた内容を間違えることなく実行し続けることが可能。安定した検査を実現できます。

人間の目には見えない不良や不具合を検出可能

高品質なカメラや高度なアルゴリズムを持つソフトウェアを使うことで、人間の目では検出できない不良や不具合を検出できるのも画像検査のメリットです。

たとえばカメラのレンズなどは細かい傷がないことを確認しなくてはいけませんが、人間の目に見えるレベルよりも細かい傷を見る必要があり、顕微鏡などを使って時間をかけて検査する必要があります。

このような場合でも適切な画像検査システムを用意すれば高速に検査可能です。

コストダウンにつながる

検査のために人間を雇うと人件費が発生します。特に優秀な検査員を雇い続けるには高い報酬が必要でしょう。

これに対して画像検査は初期導入コストがかかるものの、その後は電気代やメンテナンスなど比較的安価で使い続けることが可能です。

但し、被測定物の検査項目の組み換えや製品自体の更新などで変更が必要な場合、自身で行う知識を保有していない場合は保守費用が必要となります。

生産性が向上する

人間による目視検査はどうしても時間がかかり、検査のための時間が製造上のボトルネックになることがあります。

画像検査の場合、十分な処理能力を持ったシステムを導入すれば高速な検査が可能であり、製造速度を落とすことなく検査し続けることが可能です。

また、これまで検査員に費やしていたコストを生産に回せば、製造能力を増強することも可能でしょう。

製造ラインの増減が容易

製品の出荷数を増やしたり減らしたりするには、製造能力に加えて検査をおこなう能力の増減も必要です。

人間が検査する場合、検査員の増員にはコストがかかりますし、十分な能力を持たせるための教育には時間がかかります。また、検査員を容易に解雇することはできません。

画像検査であれば、同じシステムを導入するだけで簡単に検査能力を向上できます。減らすときもシステムを売却したり、使わずにしまっておいたりするだけで済むため、臨機応変な対応が可能です。

活用事例

電子基板の外観検査に

従来、人の目視による外観検査を、外観検査カメラの高精度の画像マッチング技術を用いて自動化、デジタル化することで、人の目に代わり現場の生産性や品質の向上を叶えます。検査可能な内容は、ハーネスや抵抗器カラーコードの色、電子基板にある部品の有無・極性・間違い、ネジ・穴の有無・ズレ、LED・LCDの点灯、印字の有無・間違い、組立など多くあります。
専用の外観検査装置は高精度ではありましたが、高価でセッティングも難しく小ロット向きではありませんでした。近年では、カメラ、レンズ、照明、ソフトウェアが一体でコンパクトな上、各機器の接続調整等の必要もないため、設置も簡単に。専門知識がなくても誰でも簡単に運用が可能になったものもあります。

温度分布を非接触でリアルタイムに観測

離れた場所からリアルタイムで温度分布が観測できる赤外線サーモグラフィカメラ。高性能のものからデジタルカメラ並みに小さくて安価なものまであり、コントローラーとカメラヘッドが脱着できます。狭い設備の隙間や裏側へ回り込ませて測定することができるものやガラス越しに測定できるもの、火炎の形状や揺らぎによって測定位置が特定できないものの測定など、接触型では解決できない様々な温度測定が可能です。近年では、操作を簡単にした専用機として、新型コロナ感染症予防対策用に広く活用されています。

ハイスピードカメラを活用し目に見えない瞬間の現象を撮影

ハイスピードカメラは、様々な分野で目に見えない瞬間の現象を撮影するために使用されています。
エレクトロニクス分野ではモバイル機器の落下の挙動や変形、ノズルから出るインクの塗出の様子などを観測することが一般的です。生産技術分野では、生産ライン上での高速挙動の一瞬の不具合の観測による歩留まりの改善などを行い、流体分野では高速の液体や気体の流れを可視化、計測するために活躍しています。また自動車分野では、衝突する瞬間を撮影し、安全設計の面で活躍しています。弱い部分の設計変更に対応しています。
ハイスピードカメラには、可視光の他、温度分布を捉えることができる赤外線ハイスピードカメラや、材料の内部で発生する応力分布、配向構造を可視化することができる偏光ハイスピードカメラなどがあります。小型で組み込みのできるタイプのものもあり、これまで撮影できなかった狭い空間での撮影も可能です。

質問集

取り扱いが簡単な画像検査機はありますか?

プログラミングが不要な画像外観検査機があります。画像検査に必要な手順をBOX化し、それらをつなげるだけで簡単にモデルの構築ができるようになっています。ディープラーニングを活用したAIがあり、こちらを導入したソフトウェアによってコストダウンと効率化が図れます。

静電気を画像で可視化できますか?

従来、静電気は電位センサを活用した測定器で観測していましたが、測定器を当てた部分や当てた時の値しか観測できませんでした。しかし、分光イメージング技術を採用したカメラを採用することで、放電現象がいつ、どこで発生したかがモニタリングできるようになりました。

非接触三次元測定機はありますか?

三次元測定機は接触による門型が主流でした。製造現場で直接測定したい、測定時間の短縮したいなどの要望があり、近年ではレーザービームによるスキャニングが可能な、アーム式でコンパクトな非接触測定機が開発され活躍しています。また、プローブによる接触測定もできるようになっています。
6軸や7軸など多関節のアームを持った装置もあり、自由自在に動かせるなど実用性を考慮した設計のため、様々な産業環境で測定が可能です。作業を中断して校正することなくプローブやスキャナーを交換でき、必要な場所に測定結果を表示できるなど利便性にも優れています。

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