新エネルギー計測

新エネルギー計測

新エネルギー計測とは、太陽光発電や風力発電などによって生まれた新エネルギーを計測することです。なお、新エネルギーは技術的には実用可能ですが、経済性の面で制約があり、化石エネルギーなどの従来のエネルギーと比べると普及していないエネルギーを指します。

新エネルギー計測とは何か、また、どのような役割を果たすのかについて解説します。新エネルギーを計測するメリットや活用事例、よくある質問なども紹介するので、ぜひ参考にしてください。

新エネルギー計測とは

新エネルギー計測とは、新エネルギーを計測することです。例えば、新エネルギーの1つに太陽光発電があります。新エネルギー計測では、太陽光発電によって生まれたエネルギー量を計測し、数値化します。

太陽光発電などの新エネルギーは、常に安定した供給源があるわけではありません。天候や測定位置、方角などにも影響を受けるため、エネルギー量がどの程度か予測することが困難です。そのため、計測の際には、微小なエネルギー量から大容量まで対応できる機器が求められます。太陽光発電であれば数Wから数kWまで対応していることが必要です。

新エネルギーとは

そもそも新エネルギーとは、化石エネルギーの利用を減らし、エネルギー源を多様化するためのエネルギーを指します。「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法(新エネ法)」では、非化石エネルギーの導入を図るために必要とされ、なおかつ技術的には実用段階に達してはいるものの、経済性の面などから十分に普及していないエネルギーを新エネルギーと定義しています。

例えば、次の発電方法で生まれるエネルギーは新エネルギーです。

  • 太陽光発電
  • 風力発電
  • バイオマス発電
  • 地熱発電
  • 中小規模の水力発電

また、熱利用や燃料により生まれる次のエネルギーも、新エネルギーです。

  • 太陽熱利用
  • 雪氷熱利用
  • 温度差熱利用
  • バイオマス熱利用
  • バイオマス燃料製造

再生可能エネルギーを広義の新エネルギーと表現することもあります。その場合は、次のエネルギーも新エネルギーに含まれます。

  • 大規模の水力発電
  • 地熱(フラッシュ方式)
  • 空気熱利用
  • 地中熱利用

新エネルギー計測の種類

新エネルギーのなかでも、日本で特に普及が進んでいるものとして「太陽光発電」が挙げられます。太陽光発電の利用や発電所建設に不可欠な計測機器としては、次のものがあります。

それぞれの特徴や計測するシーンなどについて説明します。

I-Vチェッカー

I-Vチェッカーとは、電圧と電流の関係を測定する機器です。太陽光発電では、日射量に応じて適切な電圧と電流の関係が変わります。I-Vチェッカーを利用することで瞬時に電圧と電流の関係を測定すれば、日射量に応じた適切なI-VカーブやP-Vカーブを時間をかけずに判断できるようになります。

I-Vチェッカーは、太陽光発電所の建設時だけでなく、発電所の定期メンテナンスや故障診断の際にも用いることが可能です。数秒間のうちに数%、数十%の範囲で変動する日射量を適切に把握することで、日射変化が自然のものか発電機器の故障によるものかを判断しやすくなります。

全天日射計

全天日射計とは、天空から入射する全天日射量を測定する機器です。受光部が黒色塗装され、直接日射に暴露される構造のものが一般的ですが、日射だけでなく紫外線や温度の影響を受け、正確な計測ができない可能性があるため注意が必要です。

メーカーによっては受光部が直接日射に暴露されないものもあります。紫外線や温度の影響が少なく、また受光部が長持ちするため、長期的に使用しても誤差が生じにくいなどのメリットがあります。

マルチ計測器(絶縁診断装置)

マルチ計測器とは、太陽光発電に対応した計測器です。発電中でも発電電圧と絶縁抵抗を測定でき、太陽光発電設備のパフォーマンスを正確に調べて数値化します。

屋外で使用することが想定されるため、ポータビリティを高める工夫がされた機器も少なくありません。例えば、ACアダプタなしに乾電池だけで使用できるタイプや、1kg未満の軽量化タイプなどもあります。

マルチファンクションテスター

マルチファンクションテスターは、太陽光発電に関する複数の設備の計測に活用できる機器です。発電設備だけでなくパワーコンディショナーにも活用でき、発電出力係数やパフォーマンスレシオ、モジュールの性能なども同時に数値化します。

マルチファンクションテスターでは、パワーコンディショナーを稼働させたまま、モジュールの発電効率やパワーコンディショナーの変換効率を同時に測定することが可能です。マルチファンクションテスターによる測定時に発電性能の低下が見られたときには、モジュールの不良かパワーコンディショナーの不良のいずれかが想定されると判断できます。

なお、3相パワーコンディショナーやマルチストリングタイプのパワーコンディショナーを測定するときは、通常のマルチファンクションテスターは使用できないこともあるため注意が必要です。メーカーによっても異なりますが、マルチストリング等の特定のパワーコンディショナーに対応したアダプタが必要になることもあります。

新エネルギー計測のメリット

新エネルギーは、自然に発生する熱や力をエネルギーに変換したものです。新エネルギーを正確に計測することで、次のメリットが得られます。

それぞれのメリットについて説明します。

新エネルギーの効率的な活用が実現できる

新エネルギーは自然に発生する熱や力をエネルギー変換したもののため、供給量が安定しないという課題を抱えています。また、前もってどの程度のエネルギーが産生できるかを予測しづらく、十分な蓄電システムも備えにくい点も課題です。

新エネルギーを正しく計測することで、エネルギーの産生量も予測しやすくなると期待できます。また、予測される産生量に応じた蓄電システムも備えれば、産生したエネルギーを無駄なく利用でき、新エネルギーの効率的な活用も実現できるでしょう。

新エネルギーの普及を阻む理由の1つとして、経済性の低さが挙げられます。しかし、正確な計測により効率的に活用できるようになると、経済性も高まり、普及も進むと期待できます。よりクリーンなエネルギーを普及させるためにも、新エネルギーの計測は不可欠です。

エネルギーの供給不足を解消できる

新エネルギーの産生量を正確に予測できるようになると、必要に応じて発電システムを設置できるようになります。供給量も安定し、供給不足や化石エネルギーとの併用を回避しやすくなるでしょう。

エネルギーの使用量を抑えた省エネタイプの電気機器が増えてはいますが、DX化の広がりにより電気に依存する傾向はかつてよりも高まっていると考えられます。

国連が掲げる17の持続可能な社会のための目標(SDGs)の7番目は「エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」です。場所を問わずすべての人がクリーンなエネルギーを使用するためにも、新エネルギーの正確な計測は欠かせない要素といえます。

地球温暖化防止につながる

地熱や太陽光などで産生させたエネルギーを正確に計測することで、新エネルギーを効率的に活用できるようになります。無駄なく活用することで経済性が高まり、エネルギー全体における新エネルギーの割合も高まると期待できるでしょう。

基本的にすべての新エネルギーは再生可能エネルギーで、産生の段階において二酸化炭素をほとんど排出しません。新エネルギーの割合が高まれば、エネルギー全体における化石エネルギーの比率が減り、二酸化炭素の排出量も減り、地球温暖化防止につながります。大切な地球を暮らしやすい環境に保ち、次世代に引き継ぐためにも、新エネルギーの正確な計測が必要です。

活用事例

系統連系試験システムで分散型発電システムの評価

太陽光・蓄電池・EV・水素燃料電池などの分散型発電システムの系統連系試験に利用することで、評価時間や開発期間の短縮ができます。手動検査と自動検査が可能、各種出力容量の発電システムに対応、パワーコンディショナの系統接続方式に対応して、単相2線/単相3線/三相3線/三相4線の試験が可能などの特長があります。製品開発時の評価試験、製造ラインでの検査、品質管理試験など用途に合わせて柔軟にシステムアップできます。

太陽光発電システムの竣工時や保守点検に多機能PVテスタ

日本国内の保守点検のガイドラインであるJEM-TR228とJPEAガイドラインに準拠した測定項目である、絶縁抵抗、開放電圧、短絡電流の測定が可能です。モジュール温度と日射量からSTC(標準状態)演算を行った結果を表示できるだけでなく、予め登録したモジュールデータベースとの比較から合否判定も行えます。また、国際規格IEC62446に規定されたストリング、アレイの電流測定、その電力測定が行えるため、現場で実動作状態でモジュールの発電性能を容易に評価できます。

太陽電池モニター用日射計であらゆる太陽光エネルギーを観測

太陽電池モニター用日射計は全天日射量を測定するセンサを装備しているため、太陽からの直射及び天空からの散乱により地表に入射する太陽エネルギーを捉え日射量(W/m2)に比例した電圧を出力します。受感部に黒色塗装が施されたサーモパイル(熱電堆)を使用しており、シリコンフォトダイオードを用いた日射計と比較して測定波長範囲が広く高精度、高信頼性、高感度になっています。

質問集

太陽光発電設備の絶縁診断をしたいのですが、何がありますか?

最大1000Vの太陽光発電設備に対応した直流回路の絶縁診断装置があります。発電中でも絶縁抵抗測定が正確に行えるほか、絶縁低下箇所の区間判別にも対応しています。また、非接地回路はパワーコンディショナとの切り離しが不要です。

太陽発電を学習できる教材はありますか?

系統連系太陽発電システムは、風力発電・太陽電池による実用化システムの仕組みやインバータの特性を体験学習可能です。ほかに学習できるものとして、商用電力系統とシステムとの系統連系の運転・維持などがあります。発電出力は、1kw位から20kwくらいまで小型から大型までのものが製作可能です。パソコンによる各種計測が行え、打ち合わせにより仕様を決めて製作していきます。

I-Vチェッカーとは何ですか?

I-Vチェッカーまたは、I-Vカーブトレーサは太陽光発電設備設置やメンテナンスにあると便利な測定器です。日射量に応じて太陽光発電(PV)の出力は、適した電圧と電流の関係(I-Vカーブ、PVカーブ)が変わります。I-Vチェッカーがあればそれらの特性を測定可能なため、 太陽光発電所建設時、また建設後における点検・定期メンテナンス・故障診断などで活躍します。

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