マイクロプロセッサ応用機器

マイクロプロセッサ応用機器

今やあらゆる電化製品に搭載されているといっても過言ではないマイクロプロセッサ。このようなマイクロプロセッサ搭載製品の開発に役立つのが各種マイクロプロセッサ応用機器です。プログラムの書き込みやデバッグ、さらには生産などさまざまな場面で役立つ製品が存在しています。本ページではマイクロプロセッサ応用機器とは何か、種類、メリット、活用事例、よくある質問などわかりやすくご紹介していますので製品の選定にお役立てください。

マイクロプロセッサ応用機器とは

まずはマイクロプロセッサ応用機器にはどのようなものがあるのか、概要を解説します。

マイクロプロセッサにプログラムを書き込むためのもの

マイクロプロセッサ応用機器の代表的な機器が、「プログラマ」と呼ばれるものです。

マイクロプロセッサはプログラムがないと動かない上、PCやスマートフォンと異なりプログラムをインターネットからダウンロードして保存するような機構がないのが一般的です。

そこで、マイクロプロセッサに内蔵された、あるいは基板上に実装されたフラッシュメモリに対してプログラムを直接書き込む必要があり、そのためにプログラマが用いられます。

プログラマはPCとUSBなどで接続され、さらにマイクロプロセッサとSPI、UART、I2C、JTAGといった通信規格で接続されます。

そして、PC上で構築したプログラムをフラッシュメモリに書き込むことで、プログラムを取り外してもマイクロプロセッサは書き込まれたプログラムを実行可能です。

マイクロプロセッサをエミュレートするためのもの

「インサーキットエミュレータ」と呼ばれる機器もマイクロプロセッサ応用機器の1つです。

これはマイクロプロセッサの機能をエミュレートし、ソフトウェア開発を支援するためのもの。デバッガとの連携によりブレークポイントの設定、ステップ実行、トレースの出力などができます。

マイクロプロセッサのなかには、機能削減によりコストを下げる目的でこれらのデバッガ機能をハードウェアとして持っていないものもあります。しかし、インサーキットエミュレータを利用すると、そのようなマイクロプロセッサでも効率的にソフトウェア開発ができるでしょう。

マイクロプロセッサの出力波形を確認するためのもの

マイクロプロセッサが想定通り動作しているか確認するには、その出力波形の確認が欠かせません。

このために使われるのがロジックアナライザです。これは信号の電圧をしきい値と比較し、しきい値のほうが高ければ1、低ければ0として波形表示する機器。

トリガ条件を設定して波形を取り込む範囲を指定することもでき、所望の波形をピンポイントで表示することもできます。

以前は専用の装置が存在していましたが、オシロスコープやロガーの機能が高度化したため、オプションとして観測できるようになり、専用機の存在は、ほぼありません。

マイクロプロセッサ応用機器の種類

それぞれのマイクロプロセッサ応用機器について、どのようなものがあるか最近の動向を解説します。

プログラマ

PC不要で書き込み

プログラムを書き込む際にPCを用意するのは手間ですし、場所を取ります。また、生産現場によってはPCなどのデジタル機器の持ち込みが制限されているところもあるでしょう。

そのようなときに役立つのが、PC不要でプログラムを書き込めるプログラマです。USBメモリなどにプログラムを格納しておくことで、PCレスでのプログラム書き込みを実現します。

多面取り基板への同時書き込み

プログラマのなかには、同時に複数のマイクロプロセッサに対して同じプログラムを書き込めるものがあります。

たとえば複数のプログラマをUSBケーブルで連結し、それぞれを別のマイクロプロセッサに接続することで、ホストPCなどから一括でプログラムを書き込み可能です。

これによりマイクロプロセッサ1つ1つに対してプログラムを書き込むよりも生産効率を向上できるでしょう。また、ホストPCなどから書き込むプログラムを変更すれば顧客ごとのカスタム対応も容易におこなえます。

自動プログラミングシステム

自動プログラミングシステムは、トレイに載ったマイクロプロセッサに直接プログラムを書き込めるシステムです。

速度は製品によって変わりますが、1トレイあたり10秒未満で終了するものもあります。

多数のトレイをセットするとそれらを1つ1つ自動的に配置し、書き込めるため、生産効率が大幅に向上するでしょう。

さらに、レーザーマーカーでマイクロプロセッサ表面に刻印ができるものもあり、カスタム品などの目印に利用できます。

インサーキットエミュレータ

複数のマイクロプロセッサに対応

インサーキットエミュレータにはマイクロプロセッサメーカーが販売しているものとサードパーティーが販売しているものがありますが、サードパーティーが販売するもののなかには複数メーカーのさまざまなマイクロプロセッサに対応したものがあります。

ARM、Microchip、ルネサスなどさまざまなメーカー製マイクロプロセッサに対応したものを使うことで、自社内でマイクロプロセッサを用途ごとに使い分けても1つのインサーキットエミュレータでそれらのデバッグが可能です。

有線LAN/無線LAN対応でリモートデバッグに対応

マイクロプロセッサのデバッグは、これまで直接インサーキットエミュレータを介してPCと接続しておこなうのが当たり前でしたが、最近では遠隔地からのデバッグに対応した製品が登場しています。

このようなインサーキットエミュレータは有線LAN/無線LAN接続機能を備えており、製品開発はもちろん顧客のトラブルサポートにも利用できるでしょう。

電力解析機能に対応

近年ますます重要性が増している省エネ性能についても、インサーキットエミュレータで改善が可能です。

プログラムのコードと電力消費量を対応させて開発者に示す機能を備えたものが存在しており、より直感的かつ的確に消費電力削減を実現できます。

ロジックアナライザ

オシロスコープ機能付き
ロジックアナライザのなかには、オシロスコープの機能を備えたものがあります。

最近のマイクロプロセッサのなかにはUSBなどデジタル特性だけでなくアナログ特性の測定が重要なインタフェースを備えた機器が少なくなく、高機能なマイクロプロセッサで便利に使えるでしょう。

ただ、現在ではオシロスコープにロジックアナライザがついたものが主流であり、ロジックアナライザが主機能である製品は少ないです。

バス解析機能

バス解析機能を備えたロジックアナライザを使うと、動作解析の効率が向上します。

UARTでシリアル転送されるデータの表示はもちろん、I2CやUSBといったパケットベースで動作するバスのパケットの種類や内容まで表示可能。

動作不良が起こってもその理由の特定が容易です。

マイクロプロセッサ応用機器のメリット

マイクロプロセッサ応用機器を導入するメリットを解説します。

マイクロプロセッサ搭載機器の開発効率が向上する

マイクロプロセッサ応用機器を導入することで、マイクロプロセッサを搭載した製品の開発効率が向上します。

インサーキットエミュレータやロジックアナライザはシンプルなものであっても動作解析を簡単におこなえるため、動作不良や機能の改善に役立つでしょう。

さらに有線LANや無線LAN経由でのリモートデバッグに対応したインサーキットエミュレータを利用すれば現場に行かなくても解析ができますし、バス解析機能を備えたロジックアナライザを利用すれば手計算で通信内容を解析するよりも早く正確です。

高機能なマイクロプロセッサ応用機器は高価ですが、費用対効果を考えると安いといえるかもしれません。

設置場所を節約できる

マイクロプロセッサの動作解析をおこなう実験室は、PC、プログラマ、インサーキットエミュレータ、ロジックアナライザ、オシロスコープなど場所を取るものであふれています。

そこで、たとえばオシロスコープ機能を備えたロジックアナライザを導入すれば2つの機器を1つにまとめられますし、複数のマイクロプロセッサに対応したインサーキットエミュレータを導入すれば機器ごとの使い分けが不要になるでしょう。

整理された実験室で作業をおこなえば、開発効率向上にもつながるかもしれません。

生産効率が向上する

高機能なマイクロプロセッサ応用機器を導入すれば、生産効率の向上も図れます。

多面取り基板への同時書き込みに対応したプログラマを使えば時短につながりますし、自動プログラミングシステムならさらに必要な人手を減らすことが可能です。

遠隔操作が可能なインサーキットエミュレータの利用も、顧客サポートの工数を減らし、生産効率や開発効率のための時間の確保につながります。

活用事例

オンボードプログラマ

オンボードプログラマは、基板実装されたシリアルフラッシュ、フラッシュマイコンに書き込み可能な装置です。オンボードでの書き込みはUART、I2C、CSI、CLK、JTAG同期によりできます。また、複数基板や多面取り基板などへのGANG書き込みも、オンボードプログラマをUSB連結することで可能です。各社のデバイスに対応していますが、対応していないデバイスは書き込み不可のため、装置メーカーに相談する必要があります。

デバイスプログラマ

NANDやNORなどのフラッシュメモリ、フラッシュマイコン、シリアルフラッシュ、モジュール等半導体メモリ各種(ROM)、最新eMMCメモリ、UFSメモリのデータ書き込み、データ読み出し、データ比較、データ消去などを行えます。使用中のデバイスや書き込み状況に応じて、設計・開発部門から量産現場まで、幅広くラインナップされています。

自動プログラミングシステム

デバイス搬送(トレイから書き込み部へ)や書き込み後のトレイへの収納を自動で行うシステムのこと。CCDカメラを搭載した機種なら自動位置決め機能が使用でき、画像処理によってトレイ・ICソケットの各種位置情報を取得し、制御プログラムに設定してくれます。取得したトレイ・ソケットの位置情報に応じた位置補正も実施しながら搬送ロボットがデバイスを吸着、トレイポケットへ収納するため、ピン曲がりの発生を抑えられます。

質問集

ロジックアナライザとは?

デジタル回路上の多数のデジタル信号を表示するもので、スレッショルド電圧(しきい値)よりも、信号の電圧の方が高ければ‘1’、低ければ‘0’となり、これを矩形波で表示する装置です。マイクロプロセッサが開発された当初のオシロスコープはアナログの上、CH数が少なく、このような専用の装置(ロジックアナライザ)を使用していました。

インサーキットエミュレータとは?

CPUの機能を代替(エミュレーション)する装置で、開発中の基板に装着してプログラムの動作検証が行えます。実物のCPUではできない検査用の複数の動作に対応するだけでなく、不具合や欠陥が生じている箇所の特定やプログラムの動作の解析などに用いられます。

プログラミングサービスとは?

高性能なデバイスプログラマを所有、最適な作業環境を完備、熟練したスタッフが作業するなど高品質なプログラミングを受託で行うサービスです。最新のデバイスに対応しているほか、短納期にも対応、セキュリティもしっかりしています。最近では、複数の回路をまとめたASICを用いることが多くなっていることもあり、あまり使われなくなっています。

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