プロジェクター

プロジェクター

画像を手軽に大画面に表示できるプロジェクターは家庭からオフィス、さらには街頭広告などさまざまな場面で利用されています。一口にプロジェクターといってもさまざまな方式が存在し、それぞれにメリットとデメリットが存在。また、最近ではプロジェクションマッピングといった新しい技術も普及するなど、これからもプロジェクターは発展し続けるでしょう。本ページではプロジェクターとは何か、種類、メリット、活用事例、よくある質問などわかりやすくご紹介していますので製品の選定にお役立てください。

プロジェクターとは?

まずはプロジェクターについて解説します。

画像をスクリーンに投影するためのもの

プロジェクターとは日本語では「投影機」あるいは「映写機」と呼ばれ、スクリーンなどに画像を映写するための機器のことです。

比較的小型の本体から画像や動画を大きくスクリーンに投影できることから、テレビ・映画の観賞やプレゼンテーション用スライドの投影など、大画面で見る必要がある用途によく使われます。

初期のプロジェクターは1939年に発明

現在のプロジェクターに近い初期のプロジェクターの1つが1939年に発明された「アイドホール」というものです。

これは油膜に電子ビームで画像を凹面鏡に書き込み、キセノンランプから出た光を当て、反射レンズを通じてスクリーンに像を結ぶというもの。

アイドホールによって得られる画面は12m x 9m程度で、教育用途によく使われ、日本でも東海大学湘南校舎に6.5m x 5mのものが設置されたといいます。

立体物に投影する「プロジェクションマッピング」が一般化

プロジェクターというと以前は平面のスクリーンに投影するものが一般的でしたが、最近では立体物に投影する「プロジェクションマッピング」がイベントなどでよく使われています。

凹凸がある立体物に映像を張り合わせることで、建物を変形させたり、動かないはずのものが動いたりと、リアルな立体感および空間感を表現することが可能です。

その歴史は意外と深く、1969年にアメリカのアナハイムにあるディズニーランドで「ホーンテッドマンション」のアトラクションではじめて実用化されたといいます。

日本ではじめてプロジェクションマッピングが導入されたのも東京ディズニーランドのホーンテッドマンションとのことです。

現在ではクリスマスイルミネーションなど、さまざまな場所で実際にプロジェクションマッピングを見かける機会が多いのではないでしょうか。

プロジェクターの種類

一口にプロジェクターといってもさまざまな種類が存在します。どのような種類が存在するのか解説しましょう。

大きく分けてCRT方式とライトバルブ方式の2種類が存在

プロジェクターには大きく分けて「CRT方式」と「ライトバルブ方式」の2種類が存在します。

CRT方式とは、ブラウン管を使って表示した画像をレンズなどを使って拡大し、投影するタイプのものです。スクリーンの前面から投影する方式と背面から投影する方式があり、背面から投影する方式は「リアプロ」として家庭用大型テレビとして販売されたこともあります。

ライトバルブ方式は液晶プロジェクターのように光源からの光を変調して投影するもので、先述のアイドホールもこの一種です。

CRT方式は動きがなめらかで残像が少ないというメリットがあるものの、構造上大きく重く、消費電力が大きいことから、現在ではライトバルブ方式が主流となっています。

ライトバルブ方式のプロジェクター

ライトバルブ方式のプロジェクターのなかにもさまざまな種類が存在します。主なものを解説しましょう。

液晶プロジェクター(LCD)

液晶プロジェクターはLCD(Liquid Crystal Display)とも呼ばれ、液晶ディスプレイと同じく、液晶パネルを使って画像を表示する方式のプロジェクターです。

液晶パネルは電圧を加えると分子の向きが変化する液晶を利用し透過する光の量を制御するもので、これに光を当てることで透過した光のみがスクリーンに当たり、画像が表示されます。

現在では家庭用をはじめ多くのプロジェクターに採用されている方式であり、安く手に入れることもできるでしょう。

欠点は光を透過させる方式なので黒色の表現が難しく、黒色が灰色っぽく表示されるいわゆる「黒浮き」が生じる点です。

また、昔のモデルでは液晶の格子状の枠がスクリーンに表示されることもありました。

反射型液晶プロジェクター(LCOS)

反射型液晶プロジェクターはLCOS(Liquid Crystal On Silicon)とも呼ばれ、比較的高価なプロジェクターに採用される方式です。

先ほどご説明したLCDが液晶パネルを使って光を透過させているのに対し、LCOSでは反射型液晶を使って光を反射しています。

シリコン基板上に液晶層を作り、そこに映像を表示させながら基板背面に置いた反射板で光をレンズに導いて投写するという方式です。

この方式のメリットは高解像度かつコントラスト比に優れるという点。また、黒の表現もしっかりとしており、LCDのような黒浮きが発生しづらいです。

デメリットは高価で本体サイズが比較的大きい点にあります。また、先述のように高価なため、手軽に導入するのは難しいかもしれません。

DLPプロジェクター

DLPはDigital Lighting Processingの略で、微少な鏡を大量に使った方式です。

鏡はDMD(Digital Micromirror Device)と呼ばれ、これを傾けることで光の反射を制御します。光の3原色に対してDMDを1枚ずつ使う方式と、1枚のDMDを時間差で使い人の目の残像効果を利用して表示する方式の2つが存在します。

液晶を使った方式よりも長寿命でコントラストが高いのがメリットですが、価格はLCDより一般的に高いです。

また、DMDを1枚しか使わない方式の場合、人によっては虹色の残像が見えることがあります。

GLVプロジェクター

GLVはMEMS技術を使って作られたリボン状の光回折素子を使って画像を表示する方式です。電気信号により回折の量を変化させることが可能で、これにより光の明暗を作り出します。

この方式はソニーがアメリカのSilicon Light Machinesの技術を使い、2005年の愛地球博で2,005インチ型(縦10m x 横50m)のスクリーンを展示しました。

レーザープロジェクター

レーザープロジェクターは光源に半導体レーザーを使ったものです。

従来のプロジェクターが使用していた水銀などの光源は寿命が短く、一定期間(例:2,000時間)でランプ交換の必要がありました。これに対してレーザー光源を使用したものは約20,000時間利用でき、交換の手間やコストを大幅に削減できます。

ほかにも電源ONから投影までの時間が短かったり、非常に明るく明るい部屋でも使えたりというメリットも。

ただ、本体価格は従来のランプを使用したものより高い傾向にあります。

なお、レーザープロジェクターは光源の種類を表すものであり、画像表示にはLCOSやDLPといった方式を組み合わせて使用します。

プロジェクターを使うメリット

プロジェクターを使うメリットについて解説します。

大画面を小型の機材で利用できる

プロジェクターを使うメリットの1つが、大画面を小型の機材で利用できるという点です。

プロジェクターには100インチ超えの大画面を投影できるものが数多くありますが、この大きさを液晶ディスプレイなどで実現しようとするとかなり大型で重くなるでしょう。

これに対してプロジェクターの場合は100インチの大画面投影が可能でありながらバッテリー内蔵で持ち運びができるものもあり、手軽に大画面の画像表示をおこなえます。

また、先述の2,005インチ型プロジェクターのように、ディスプレイでは実現が難しい大きさも利用可能です。

収納すれば邪魔にならない

大画面のディスプレイは大きく、部屋のなかに置いておくと邪魔になりますが、プロジェクターは本体が小型でスクリーンは巻き取れるため、使用しないときに邪魔になりません。

このため、家庭のリビングはもちろん、オフィスの会議室に設置しても使わないときには部屋を広く利用できるでしょう。

画面の大きさを変えられる

プロジェクターはスクリーンとの距離によって画像表示の大きさを変えられます。

これにより、大人数の場合は大きく、少人数の場合は小さくなど、用途に応じた画像サイズで利用可能です。

また、表示する位置もプロジェクターの角度やスクリーンの位置の調整で手軽に変更できます。

立体物への投影も

プロジェクションマッピングの技術を使えば、平面だけでなく立体物への画像投影が可能です。

これにより芸術的な表現や、より感性に訴えかけるプレゼンテーションができるでしょう。

また、いわゆる「SNS映え」する広告表示をおこなえば拡散されやすく、宣伝効果も高くなります。

活用事例

PCレス電子黒板機能で教育現場に

パソコンを接続しなくても、書画カメラなどの映像上に電子ペンで書き込みがおこなえたり、デジタル教材を追加で用意することなく既存教材と組み合わせてのわかりやすい教材提示が可能になったりします。投写面を選ばず大画面で投写できるため、黒板と電子黒板を活用することが可能です。2人同時の書き込みやマウスでの操作や子どもたちのタブレット端末に、簡単に投写画面の配信ができます。

動くPOPで本日の”売り”を強力にアピール

明るい昼間でも、季節商品やキャンペーン、新商品の映像プロモーション(動くPOP)を店舗のウィンドウに投影可能です。お店の雰囲気や個性などにあわせてウィンドウ空間を有効活用すれば、店舗外の顧客の注目度をアップでき、店舗内への誘導を促進可能です。USBメモリーに保存されたファイルをそのまま投影することができるため、PowerPointで作成したファイルのスライドショーやデジカメで撮影した商品の動画ファイルの再生など、映像コンテンツをPCレスで再生可能な機種もあります。

プロジェクションマッピングで空間体験の驚きと感動を

大規模プロジェクションマッピングは、グラウンドや建物への投射のほか、コンサート会場や舞台における大画面演出などで定着してきています。ほかにも、ミュージアムや結婚式場、ホール等での演出、誘導・インフォメーションなどにも活用され、最近では飲食店内のテーブルへの投射で顧客の満足度を増すなど、小規模な分野でも採用されています。

質問集

斜めに置いても大丈夫ですか

ボタンひとつで、スクリーンの枠に画面を合わせる「フレームフィット機能」や、オートフォーカス機能を搭載したモデルがあります。さまざまな条件下でセッティングの手間を減らし、素早い投写を実現できるようになっています。

スマホに対応していますか?

パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレット端末にも対応しています。接続方法は、HDMIなどの端子またはアダプタをケーブルでつなげる有線による接続と、Wi-Fiやアプリを活用した無線による接続があります。

プロジェクターを選ぶポイントは?

プロジェクターは、以下の4つのポイントで選びましょう。
・撮影する部屋の明るさ・広さ(暗幕などで暗くできるか)
・スクリーンの大きさ(対象人数)
・パソコンの解像度(パソコンの画像を映し出して使う場合)
・プロジェクターで映し出せる明るさ解像度
プロジェクターが映し出す明るさは、「ルーメン(光の単位)」で表されます。数値の高さに比例して鮮明で明るい映像となり、明るい部屋でも映し出せます。 また解像度とは、映像をどの程度鮮明に映し出すことができるかを表す数値で、数値が高いほど鮮明に表示できます。パソコンの画面を映すのであれば、パソコンの解像度と一致するプロジェクターを選びましょう。

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