温度・湿度測定機器

温度・湿度測定機器

温度や湿度の測定は人々の日常生活はもちろん、電子機器や食品などにとっても重要です。昔からさまざまな測定方法が考案されており、用途に応じて使い分けられています。精度の高い温度・湿度測定機器を利用することで、さまざまなメリットが得られるでしょう。本ページでは温度・湿度測定機器とは何か、種類、メリット、活用事例、よくある質問などわかりやすくご紹介していますので製品の選定にお役立てください。

温度・湿度測定機器とは

まずは温度・湿度測定機器がどのようなものなのか解説します。

温度測定機器の歴史

温度測定機器の歴史は古く、最も古いものはガリレオ・ガリレイによって発明されたといわれています。これは空気の収縮を利用して水柱を上昇させるものでしたが、気圧の影響を大きく受けるため、正確な温度測定はできません。

現代でも使われている形の温度計は1612年に発明されました。これはガラス管に液体を入れ、液体の高さによって温度を測定するものであり、今でもこの形式のものが販売されています。

その後バイメタル温度センサや熱電対といった電気を利用したもの、赤外線を利用したもの、半導体を利用したものなどが登場し、現在では用途に応じて使い分けられています。

湿度測定機器の歴史

湿度計の歴史は温度計よりもさらに古く、紀元前150年頃の中国で吸湿しにくい羽根と吸湿しやすい炭を天秤にかけ、その傾きで湿度を測定していたという記録があります。

また、レオナルド・ダ・ビンチも同じような天秤を利用した湿度計を考案していました。こちらは同じ重さの玉に対し、一方は木綿でつつみ、一方はろうをコーティングしていたそうです。

現代では金属の湿度による収縮を利用したものや、金属の抵抗値を利用したものなどが利用されています。

温度・湿度測定機器の種類

温度・湿度測定器の種類について解説します。

温度測定機器の原理

一口に温度測定機器といってもその原理にはさまざまなものがあります。

ガラス温度計

温度測定機器のなかで最も単純なものがガラス温度計です。細いガラス管のなかに温度変化に応じて体積が変わる液体を入れ、液体の高さによって温度を示します。

単純な仕組みではありますが実は精度が高く、ガラスの材質や液体の種類によっては約0.01Kの精度での測定が可能です。

バイメタル温度計

バイメタル温度計は金属間の温度膨張性の差を利用して温度を測定するものです。

2つの金属を板状にして張り合わせたものをヘリカル状に巻くことで、温度変化を針に伝え人が目視できる形にしています。

構造が単純であるため耐久性に優れており、作業現場で利用しても安心です。一方、精度は高くありません。

熱電対

熱電対は異なる2つの金属線を接続し、それらに温度差を与えることで回路に電圧が発生する現象を利用して温度を測定するものです。

応答が早く、温度測定範囲が広いのが特徴で、かつ構造がシンプルなので安価で入手できます。

一方、測定精度はそれほど高くなく、かつ金属線がガスによって侵されることがあるため、測定環境によっては使用できない熱電対があるでしょう。

白金測温抵抗体

白金測温抵抗体はその名のとおり、白金を利用して温度を測定するものです。白金は温度特性が良好で経時変化が少ないため、精度の高い温度測定ができます。

また、白金は化学的に安定しており、かつ高温でも溶けないことから、国際温度目盛(ITS-90)でも広い温度帯において白金抵抗温度計を利用することになっています。

最近では白金の薄膜を小型チップにしたものも存在しており、電子回路基板上への搭載も可能です。

サーミスタ

サーミスタは熱によって電気抵抗が変化する物質を利用したものです。

小型かつ衝撃に強いため自動車やエアコンなどさまざまな機器に使われています。

ただ、使用温度範囲が狭く超高温の測定には向いていません。

放射温度計

放射温度計は物体が発する赤外線の量から温度を測定するものです。

非接触で温度測定できるのが特徴ですが、一方で物体内部の測定には使えません。

また、赤外線の量は測定物の放射率によって異なるため、正確な温度測定には適切な放射率補正値を設定する必要があります。

放射温度計は1点のみ測定可能ですが、これを2次元平面にすることで温度の分布を表示するサーモグラフィという装置もあります。

半導体温度センサ

半導体温度センサは、半導体の電圧変化が温度係数を持っていることを利用したもので、電流を一定にした状態で半導体の電圧を測定することで温度を測定できます。

温度測定範囲は狭いものの、高精度かつ安価なのが特徴で、電子回路への組み込みにA/Dコンバータなどが不要なのでシステムとしてコストを抑えることが可能です。

湿度測定機器の原理

湿度測定機器にもさまざまな原理のものがあります。

乾湿計

乾湿計はガラス温度計を2つ設置し、片方の感温部に水に濡らしたガーゼを巻いたものです。

これらの温度計を一定の風に当てると、ガーゼを巻いたものは蒸発熱によって温度が下がります。水が蒸発する量は湿度によって変わるため、温度差から湿度を測定可能です。

電気が不要なのでビニールハウスなど電気が得にくい場所でも使えます。百葉箱のなかで利用される場合もあります。

伸縮式湿度計

伸縮式湿度計は、物体が湿度によって伸び縮みすることを利用して湿度を測定するものです。

たとえば人の毛髪やナイロンの糸などが使われます。精度が低く、湿度変化に対する反応も遅いものの、構造が単純であるため故障したとしても周りの環境に影響を与えにくいのが利点です。

また、ロール紙とペンをつければ湿度の自動連続機能が可能であり、以前は博物館や美術館でもよく使われていました。

バイマテリアル式湿度計

バイマテリアル式湿度計はゼンマイ上に巻いた金属に湿気を吸収しやすい感湿剤を張り合わせ、湿度の変化によって金属が曲がるようにしたものです。

湿度変化によってゼンマイが巻かれたり戻ったりし、その巻き具合で湿度を測定します。

温度計の場合と同じく精度はあまり高くありません。

電気抵抗式湿度計

電気抵抗式湿度計は、湿度によって抵抗値が変化する素子を利用したものです。

比較的精度が高いものの、低湿度環境では誤差が大きくなる、高湿度環境では素子が劣化するというデメリットがあります。

静電容量式湿度計

静電容量式湿度計は、湿度によって物体の静電容量が変わることを利用したものです。高分子膜の両面に電極を設け、そこに蓄えられる電気量を測定することで湿度を測定します。

こちらは相対湿度が0%のときの静電容量がわかるため、低湿度環境でも利用可能です。

露点湿度計(光学式)

露点湿度計は光学式湿度計とも呼ばれ、鏡の曇り具合(結露)を検出することで湿度を測定します。

鏡が曇り始めるまでの温度は湿度によって変わるため、鏡の温度を変化させながら曇り始める温度を正確に測定することで、湿度を推定できます。

露点湿度計は電子式湿度計の基準器として利用されるなど、非常に精度が高いのが特徴です。

温度・湿度測定機器のメリット

温度・湿度測定機器を導入するメリットを解説します。

機器の安全な利用に役立つ

電子機器に搭載されている半導体は動作温度範囲が決まっており、それを超える温度で利用すると正しく動作しません。

そこでスマートフォンやPCには温度センサが搭載されており、温度が高くなりすぎると半導体の動作周波数を落としたり、冷却ファンの回転数を上げたりするなどして温度を下げるようにしています。

また、スマートフォンやノートPCに搭載されているリチウムイオン電池も高温に弱く、劣化が早く進みます。本体の温度が高すぎるという警告をみたことがある方も多いのではないでしょうか。

スマートフォンやPCだけでなく、たとえば事故が起きると人命に関わる自動車にも半導体が多く搭載されており、正確な温度測定とそれによる熱対策は必要不可欠です。

食品を長持ちさせる

食品は一般的に高温になるほど傷みやすくなりますが、一方で冷やしすぎもよくありません。

このため、冷蔵庫や食物倉庫には温度センサが設置されており、それぞれの食品に適した温度に環境が保たれるようにしています。

また、冷蔵庫のなかは一般的に乾燥していますが、野菜などは湿度が高いほうが長持ちします。そこで、野菜室を高湿度に保つ冷蔵庫が存在しており、湿度センサが活躍していることでしょう。

健康管理や感染症防止に役立つ

新型コロナウイルスの影響で利用率が高まったものの1つに体温計があります。人はウイルスなどへの感染により体温が上がるため、体温を測定することで健康状態を客観的に把握可能です。

また、非接触で測定できる放射温度計が建物の入り口によく設置されるようになりました。放射温度計のなかにはカメラと一体になったものが存在し、顔認証と健康状態の確認を同時におこなえます。

写真などを利用した顔認証の突破も、温度測定を組み合わせることで防げるでしょう。

湿度に関しても、感染症の予防には一定以上の湿度が有効だとされています。一方で高すぎる湿度はカビなどの発生を招くため、湿度計を使って適切な湿度を保つことが重要です。

製品の良品率を向上する

製品を製造する際に利用する部品や材料のなかには、温度によって壊れたり変質したりするものがあります。製造工程によっては高温が発生することがあり、それでも部品や材料を正常な状態に保つようにしなくてはなりません。

接着工程など、逆に一定の温度以上に保たなくてはいけない場合もあります。

温度測定機器のなかには製造工程に使うために作られたものが存在します。精度の高い測定機器を利用することで、理想的な温度環境で製品を製造し、良品率を向上できるでしょう。

活用事例

HACCPを基準とした食品の温度管理に

HACCPによる衛生管理の項目で、食品の中心温度を75℃以上かつ1分以上の加熱を基準としているものがあります。そこで食品用温度センサを使用すれば、食品の中心温度が管理可能なほか、液体製品やボイル時の温度計測も行えます。ハンディタイプ プリンタ付温度計測器を使用すれば記録紙への印刷も可能です。流水で洗える防水性能(IPX5)、異物混入リスクを排除、部品脱落に配慮した構造、落下で破損しにくいなどの特長もあります。

フリーザー庫内や低温輸送時の温度計測に

ワクチンや薬品などを低温輸送時に、平行平打部を完備した低温用温度センサを使用する(挟み込む)ことで、ドアや蓋、冷凍庫/冷蔵庫/恒温槽/インキュベーター等の庫内に配置でき、フリーザー庫内や低温輸送の温度計測ができます。ハンディタイプ プリンタ付温度計測器を併用すれば、温度履歴をアプリなど使用せず配達先などに記録・提示可能となります。

コンクリート内部の温度測定が簡単に

コンクリート専用の完全埋め込み型ワイヤレス温度センサーを利用すれば、コンクリート内部の温度の測定やモニタリングが可能になります。設置方法は、まず本体センサー、温度センサーケーブルを全てコンクリート内に埋め込みます。その後、スマホ・タブレット端末とワイヤレスBluetooth通信で接続し鉄筋に取り付けるだけです。これに伴い、作業効率が向上しケーブルの補修作業や改修も不要になります。コンクリートの非破壊強度推定方法、マチュリティ法(ASTMC1074準拠)により、現場の積算温度から圧縮強度を瞬時に推定可能です。

質問集

温度データをCANバスで出力できませんか?

熱電対式CANモジュールであれば、高速CANバス(2.0A、2.0B)との互換性があります。あらゆる熱電対タイプ(B、E、J、K、N、R、S、T)をサポートしていて、8、12、16、…チャネルのデイジーチェーン接続が可能です。モジュールを介してECUや既存のCANハードウェアの温度データを任意のCANバスシステムとも統合できます。

スマートフォンなどに測定・記録データをワイヤレス送信できませんか?

Bluetoothを内蔵する温度・湿度データロガーで対応可能です。データロガー内に記録された温度・湿度データをスマートフォンやタブレット端末にワイヤレスで送信できます。また記録中でも記録動作を停止することなく、データ送信可能です。 また、専用アプリを使用すれば、保存されたデータの統計演算値やグラフを表示することもできます。

移動/回転している表面の温度計測を正確にしたい

接触サポート機能付きであれば、手ブレを軽減して移動/回転する表面の温度計測を正しくかつ簡単に行えます。ヘッド形状(サイズ)・対応径・パイプの長さなどの項目を自由に組み合わせることが可能です。また、摩擦熱の影響を極力排除する目的で接触部に4点支持構造を採用した高性能移動表面用温度センサも存在します。ヘッドが動く接触サポート機能を駆使して被測定物に感温部が追従・密着、温度測定がより簡単にできます。

温度・湿度測定機器 メーカー商品一覧

製品トピックスをもっと見る

製品トピックス