周波数・時間測定器

周波数・時間測定器

周波数・時間測定器はその名のとおり、信号を周波数や時間の観点で測定・解析するための装置です。人類が扱う信号はますます高周波数化が進んでおり、より便利かつエコな製品開発のために欠かせない存在といえます。本ページでは周波数・時間測定器とは何か、種類、メリット、活用事例、よくある質問などわかりやすくご紹介しているため製品の選定にお役立てください。

周波数・時間測定器とは

まずは周波数・時間測定器がどのようなものなのかを解説します。

時間とともに変化する信号の解析をおこなうためのもの

周波数・時間測定器とは、一言でいえば時間とともに変化する信号の解析をおこなうためのものです。

このなかには電気信号はもちろん、振動や音も含まれます。信号を詳しく解析することでノイズが乗った信号から必要な信号を取りだしたり、逆にノイズ成分を取りだしてノイズ源を特定したりできます。

PCとの組み合わせで自動測定や自動解析が可能なものが増える

従来、このような測定器は自前のディスプレイを備え、単体で利用するのが当たり前でした。しかしながら、最近はUSBなどでPCと接続し、PCと連携できる機器が増えています。

これによりPCが持つ大容量ストレージを利用して長時間の自動測定が可能です。非常に発生頻度が低い事象を測定する場合でも人間がずっと機器に張り付いている必要がなく、人的コストを削減できるでしょう。

また、PCが持つ高速処理能力を活かしてさまざまな自動解析がおこなえるのも特徴で、GUIを活かした高い操作性も魅力的といえます。

また、測定器側に視認性の高い大型ディスプレイを搭載する必要がなくなることから、PCとの連携により本体の小型、軽量、低価格化が可能です。

オシロスコープとは別物

信号の測定というとオシロスコープが一般的ですが、オシロスコープで測定・解析可能な内容と周波数・時間測定器で測定・解析可能な内容は異なります。

オシロスコープは信号の時間変化を目に見える形で表示するための測定機器です。このため、表示画面の横軸に時間が、縦軸に信号強度が取られます。

これに対し、周波数・時間測定器の一種であるスペクトラムアナライザは信号の周波数特性を表示・解析するためのものです。このため、表示画面の横軸に周波数が、縦軸に信号強度が取られます。

たとえば信号の立ち上がりや立ち下がり、チャタリングの有無などの確認にはオシロスコープが利用可能です。これに対し、周波数・時間測定器は周波数の観点での信号特性を詳細に捉えられ、たとえば信号に乗っているノイズ成分の解析に利用できます。

どちらの機能も重要であることから、最近では両方の機能を備えた想定機器も登場しており、コストや設置スペースの削減が可能です。

周波数・時間測定器の種類

周波数・時間測定器の種類を解説します。

周波数カウンタ

周波数・時間測定器のなかで最も基本的なものといえるのが周波数カウンタです。

これは信号が持つ周波数を計測するためのものであり、そのために1秒間に信号がしきい値を超えて変化した回数をカウントします。

また、入力信号が必ずしも常にきれいな波形を持っているわけではなく、ノイズが乗った不安定な信号であることもあるでしょう。このため、しきい値にヒステリシスを持たせるなどして解決が試みられています。

周波数カウンタ自体の原理は単純であり、電子工作で作成することも可能です。周波数の計測は電子回路の設計において基本的な測定であることから、オシロスコープなどの1機能として搭載されていることが多くあります。

周波数アナライザ(スペクトラムアナライザ)

周波数アナライザは一般的にはスペクトラムアナライザと呼ばれ、単に信号の周波数を測定するだけでなくさまざまな解析がおこなえる測定機器です。

入力信号に含まれる信号を周波数ごとに分解し、それぞれの強度を表示できます。また、最大・最小・平均値といった統計を取ることが可能です。

これにより高調波や不要輻射、偏重、歪み、位相ノイズなどを検出でき、周波数を持つ信号を扱う製品開発になくてはならない存在といえます。

低周波の測定に特化した製品も

周波数・時間測定器というと電子回路や無線機器といった高周波信号を扱う製品がまず頭に思い浮かびますが、振動や音といった低周波信号に特化した製品も存在します。

このような製品は、身近なところではたとえば自動車や家電の開発に使われています。自動車の場合、大きな振動や騒音があると快適に乗車できません。振動や音の解析に特化した周波数・時間測定器を使えば振動や騒音の大きさや特性を解析し、その発生源の特定や改善につなげられます。

家電についても同様に洗濯機、エアコン、冷蔵庫など動作に音や振動が伴うものが少なくありません。周波数・時間測定器を活用することでより快適に使える家電にできるでしょう。

さらに航空宇宙業界や建築業界など、あらゆる業界で必要不可欠な測定器といえます。

ハンディタイプの周波数・時間測定器も登場

大きくて重いイメージのある測定器ですが、最近ではハンディタイプで持ち運びが容易な製品が登場しています。周波数・時間測定器も例外ではなく、小型軽量かつバッテリーで駆動可能な製品が販売されています。

ハンディタイプの周波数・時間測定器を利用すれば、たとえば製造の現場で何か問題が起こった際にその場で解析をおこなえます。わざわざ実験室まで運び、かつ状況を再現することなく解析できるため、迅速な解決につながるでしょう。

また、お取引先で問題が起こった際も製品を自社に持ち帰ることなく解析がおこなえるため、顧客満足度向上につなげられるかもしれません。

周波数・時間測定器を利用するメリット

周波数・時間測定器を利用するメリットを解説します。

スマートフォンのモバイル通信やWi-Fi通信に欠かせない

周波数・時間測定器が欠かせない場面は数多くありますが、その最たるものがスマートフォンのモバイル通信やWi-Fi通信です。

現在実用化されている5G通信では28GHz帯が利用されており、次世代の6Gではサブテラヘルツと呼ばれる300GHz帯の利用が検討されています。また、Wi-Fi通信でも5GHz/6GHzといった高い周波数帯での通信が必要です。

無線信号は一般的に周波数が高くなればなるほど距離とともに減衰しやすくなります。また、さまざまな電子機器が利用される現代では通信のための無線信号に乗るノイズも大きな問題です。

このためスマートフォン本体だけでなく基地局やルーター、アクセスポイントを含め、無線通信を扱う機器にとって周波数・時間測定器を利用した信号解析は必須といえます。

脱炭素時代に欠かせない

人類は最近化石燃料の利用を減らす「脱炭素」を目指しています。そのなかで注目されているのが電気自動車です。

電気自動車をより効率的に動かすには無駄に消費される電力の削減が欠かせません。このため、パワーアナライザなどの装置を使って無駄な電力の量や発生場所を特定し、改善がおこなわれています。

また、パワーアナライザはエコな発電手段として注目を集める太陽電池でも利用されており、SDGsな社会の実現にこれからも貢献していくことでしょう。

レンタルでの利用や古い製品の修理も可能

ほかの測定器同様、周波数・時間測定器も高機能になればなるほど高価になります。使用頻度が低い場合は、購入ではなくレンタルするのも1つの手です。

また、自社で利用していた古い周波数・時間測定器が故障した場合、メーカーサポートが終了した製品であっても修理をおこなうサービスが存在しています。機能的に問題がないのであれば、新規購入よりもコストを抑えられるかもしれません。

活用事例

解析機能のついた周波数カウンタでデバイスの様々なふるまいを解析

周波数カウンタや周波数アナライザ、タイマ機能が1台にまとまった、機能豊富な周波数カウンタ/アナライザがあります。優秀な分解能を持ちあわせ、微小な周波数、時間変化であっても取り込むことが可能です。トレンド・プロットでドリフトや測定値の突発的変動をグラフィカルに表示、ヒストグラム解析で安定性やノイズによる問題を発見、統計解析で測定信号のaverage、max、min、stddevなどを1つの画面で確認できます。パワー・メータを標準で装備したモデルもあります。

オシロスコープの解析パッケージオプションでジッタ解析

ジッタは、システム性能に影響を与えるため、無視できない問題です。しかし、ジッタの検出・評価は容易ではありません。拡張ジッタ/アイ・ダイアグラム解析オプションをリアルタイム・オシロスコープに付与することで、包括的なジッタ/アイ・ダイアグラム解析が高確度かつ高感度で測定できます。それにともない、高速シリアル、デジタル/通信システム設計におけるシグナル・インテグリティの問題検出が容易になります。

無線設備の技適試験に周波数カウンタを使用

周波数の偏差が、無線設備の技術基準適合(技適)試験の項目にあります。周波数測定は無変調波の連続送出で行うとありますが、シグナルジェネレータ(SG)から出力した信号を周波数カウンタで測定します。ユニバーサルカウンタやスペクトラムアナライザの周波数カウンタ機能を使用しても問題ありません。

質問集

周波数カウンタの原理は何ですか?

周波数カウンタは2方式に分類されます。1つ目の方式がダイレクトカウント方式です。周波数として表示するのは一定ゲート時間内の周期を直接カウントしたもの。2つ目の方式がレシプロカル方式です。周波数として表示するものは入力信号の周期を測定して周波数に換算(周期の逆数)したものです。

周波数カウンタとユニバーサルカウンタとの違いは何ですか?

周波数カウンタは、時間と周波数の計測に使われる計測器です。一方でユニバーサルカウンタは、周波数カウンタにパルスの立ち上がりから立ち下がりまでの時間幅計測や、2つの信号の時差の計測を可能にしたものです。

安価に周波数測定したいのですが、適したものはありますか?

最近では、デジタルテスタに周波数カウンタ機能が付いた安価なタイプがあります。また、無料の周波数測定アプリもありますが、通常の測定器ほどの正確さはなく使い勝手も製品によって異なるようです。

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