分析機器

分析機器

分析機器とは、物質の組成や性質、状態などを定性的あるいは定量的に測定する機器のことです。目的によって多様な種類に分かれますが、いずれも量や質を分析するという点において共通しています。

分析機器とは何か、また、どのような役割を果たすのかについて解説します。分析機器を利用するメリットや活用事例、よくある質問なども紹介するので、ぜひ参考にしてください。

分析機器とは

分析機器とは、物質の組成や構造、性質、状態などを定性的あるいは定量的に測定する機器のことです。分析機器は汎用性が低く、分析する対象や測定したい内容によって適切な機器が異なる傾向にあります。そのため、事前に分析対象と分析の目的を明らかにしておくことが不可欠です。

分析機器の選び方

分析機器は分析する対象や目的によって選ぶことが不可欠です。しかし、目的に合った分析機器であっても、実務の面で合わないこともあります。分析したいものを分析でき、なおかつ実務に適した機器を選ぶためにも、次の3つのポイントに注目するようにしましょう。

それぞれのポイントについて説明します。

測定精度は必要な水準のものか

分析機器の種類は多く、同じ対象・目的のものを測定する機器だけに絞っても、選びきれないほどの種類の機器が展開されています。メーカーの違い、使い勝手、ポータブルかどうかなどによっても異なりますが、特に機器の価格に影響を及ぼすのが測定精度です。

一般的に、測定精度が高ければ高いほど価格は高額になる傾向にあります。精度を高めるには高度な研究と開発技術が必要なため、機器が完成するまでのコストが高くなり、機器の価格として反映されているのです。

分析機器を選ぶときは、測定精度が本当に必要な水準のものかを見極めることが不可欠です。必要水準以上の精度の分析機器を購入すると、導入費用が高くなるだけで実務的なメリットはありません。また、高精度の分析機器は故障しやすく、さらにコストがかかる可能性もあります。

価格と目的が適正か

必要とされる測定精度が明らかでないときも、研究や作業にかけられる予算は明らかになっていることが多いです。分析機器を導入するときは、価格と目的が適正であるのか一度見直すようにしましょう。

実際のところ、予算を度外視して高性能な分析機器を購入しても、それによって得られるメリットは多いとはいえません。例えば、分析する内容や精度にもよりますが、分析機器のなかには数百万~数億円のものもあります。製品開発やサービス開発のために分析機器を使用するのであれば、高価な機器を導入すると、その分、製品・サービスの価格に反映され、業界内の競争力が低下することになるため注意が必要です。

簡易分析が本当に「簡易」か

分析機器には「簡易」という言葉が使われていることが珍しくありません。「簡易」と記載されていると誰にでも扱えるようなイメージを持つこともありますが、そうではないことも多いため注意しましょう。

一般的に「簡易」と名づけられた分析機器は、「従来タイプよりは簡易な作業で測定できる」あるいは「その分析を専門とする研究者にとっては操作が簡単である」ことが多いです。そのため、予想したよりも手間がかかり、使いこなせないというケースもあります。

「簡易」という言葉に惑わされるのではなく、実際にどのような手順で使うのか、また、従来型と比べた違いを理解してから分析機器を選ぶことが必要です。

分析機器の種類

分析機器は、用途によって大まかに次の種類に分けられます。

種類ごとにどのような分析機器があるのか紹介します。

実験・研究用分析機器

実験や研究に用いる分析機器は、さらに細かく次の種類に分類できます。

各種類に分類される分析機器を紹介します。

電気化学分析機器

  • 電解・電量分析機器
  • 導電率計
  • 電気滴定装置
  • pH計
  • 電極式濃度測定機器

電磁気分析機器

  • X線回折装置
  • X線吸収分析装置
  • X線応力測定装置
  • 電子プローブX線マイクロアナライザ
  • 質量分析装置
  • 二次イオン質量分析装置
  • 核磁気共鳴装置
  • 電子スピン共鳴装置
  • 電子分光装置
  • 透過電子顕微鏡
  • 走査電子顕微鏡

光分析機器

  • 赤外分光光度計
  • 近赤外分光光度計
  • 紫外分光光度計(可視分光光度計)
  • 光電測光式発光分光分析装置
  • 誘導結合高周波プラズマ発光分析装置
  • 原子吸光分析装置
  • ラマン分光光度計
  • 光散乱光度計
  • 色彩測定器
  • 屈折計

熱分析機器・熱測定装置

  • 熱重量測定装置
  • 示差走査熱量測定機器
  • 示差熱分析機器
  • 熱伝導率測定機器
  • 熱量計

分離分析機器

  • ガスクロマトグラフ
  • カラムクロマトグラフ
  • イオンクロマトグラフ
  • 超臨界流体クロマトグラフ
  • 電気泳動装置

分解・蒸留・濃縮分析機器

  • 分解装置
  • 蒸留装置
  • 透析装置
  • 純水製造装置
  • 濃縮装置

その他

  • 水分測定装置
  • 密度測定装置
  • 比表面積測定装置
  • 粒径・粒度分布測定装置
  • 分析用天秤

環境用分析機器

環境測定に用いる分析機器は、以下のカテゴリーに分けられます。

特に大気汚染と水質汚濁を測定する装置は種類が多く、目的や調査規模、対象とする汚染物質などによって使い分けられることが一般的です。各汚染分析機器の種類をいくつか紹介します。

大気汚染分析機器

  • 一酸化炭素分析計
  • 窒素酸化物分析計
  • 炭化水素分析計
  • 硫黄酸化物分析計
  • オキシダント・オゾン分析計
  • アンモニア分析計
  • 煤塵分析計
  • 自動車排ガス用分析機器

水質汚濁分析機器

  • りん・窒素測定装置
  • 有害物質分析計
  • 濁度計

プロセス測定用・現場用分析機器

プロセスや現場で用いる分析機器は、次の2つに分類できます。

  • 測定対象別分析機器
  • 多目的分析機器

測定対象別分析機器は、ガス(気体)や溶液、固体によってさらに分類されます。一方、多目的分析機器は、熱伝導度式ガス分析や密度式ガス分析などの分析手法によって細分化されています。

作業環境用・保安用分析機器

作業環境の保全や保安を目的とした分析機器には、以下のものが挙げられます。

  • 粉じん計
  • 酸素計
  • 可燃性ガス検知計
  • 有毒ガス検知計

医療用分析機器・検査装置

医療用に用いる分析機器や検査装置には次のものが挙げられます。

  • 医用分光光度計
  • 免疫血清検査機器
  • 輸血血清検査機器
  • 臨床化学分析装置
  • 電解質分析装置
  • 血液検査装置
  • 尿検査装置
  • 病理検査機器
  • 染色体検査機器
  • 遺伝子検査装置
  • 微生物検査装置

自動化関連機器・情報処理システム

DXを実現するために用いる自動化関連・情報処理関連の分析機器としては、次のものが挙げられます。

  • フローインジェクション分析機器
  • 汎用データ処理装置
  • 分析用ロボット

バイオ関連分析機器

バイオ分野において用いられる分析機器には以下のものがあります。

  • ペプチド合成装置
  • DNAシーケンサ
  • バイオセンサー
  • マイクロプレートリーダー

分析機器のメリット

分析機器を使用することには次のメリットがあります。

  • 違いを数値などで表示できる
  • 人の判断が介入しない

分析機器を用いることで、大きい・小さい・重い・軽いなどの相対的かつ曖昧な表現を避け、〇mg、〇μg、〇ppmのように絶対的かつ具体的な表示ができるようになります。具体的な数値がわかることで異なる場面でも常に同じ環境を作れ、研究や調査がより精度の高いものになると期待できるでしょう。

また、分析機器は各仕組みに沿って数値をはじき出すため、人の判断が介在しません。そのため情緒に流されない客観的な判断ができるようになります。例えば、医療や環境汚染のように人の健康に関わる分野などでは、客観的な判断により早期診断・治療が実現しやすいというメリットがあります。

活用事例

FT-IR高速分析装置で排出ガスの分析

エンジンをはじめ色々な燃焼装置から排出されるガスに含まれる様々な成分を高速・連続で測定可能な分析装置であれば、5Hzの高速サンプリングで過渡現象も正確にリアルタイムで測定できます。また、測定中のサンプルスペクトルで240種類以上の豊富な検量スペクトルライブラリーを使い、未解析の成分の再分析や同定・定量なども行えます。なかには、バッテリ駆動で2時間以上の実路走行測定が可能な車載型もあります。

携帯型:密度・比重・濃度計で現場でわずか数秒で測定

現場で直接サンプルの密度・比重及び濃度を測定できる携帯型:密度・比重・濃度計は、アットラインの品質検査、路上、荷受け時などでの使用に向いています。屋外使用の厳しい環境にも対応した耐衝撃性・防滴性を兼備。Bluetooth®インターフェースを備えており現場でのデータ処理に便利なだけでなく、搭載するRFIDインターフェースによりサンプルもすばやく識別可能です。

フーリエ変換赤外分光装置 FT-IRで異物分析

フーリエ変換赤外分光装置 FT-IRはポリマー、添加材、ゴムの主成分、コーティング剤などの有機化合物の定性・定量で使用可能で、研究・開発から品質管理、異物分析など様々な用途で使用されています。また、数100µm程度と小さな対象物の測定もATRアクセサリを使うことで可能です。デモ機による事前検証にも対応していますので、お気軽にご相談ください。

質問集

FT-IR向けアクセサリはありますか?

世界中にあるFT-IR周辺アクセサリメーカー数十社の製品の中から、日本でテストを行った厳選品にプラスして、専門の光学設計者がユーザの要望に合わせ設計して提供するオリジナル品も製作している会社があります。

含有化学物質調査を代行してくれるサービスはありますか?

使用部品の含有化学物質調査~製品の環境データ作成までの調査業務を代行して行うサービスがあります。製品の構成部品情報だけご提示いただければ、部品メーカに対する調査依頼、メーカからの回答内容の確認、製品環境情報データの作成といった一連の調査を代行してくれます。環境負荷物質調査の「調査方法が不明」「人手の不足」「わずらわしさ」を解消してくれるでしょう。

高速で含有化学物質の測定ができるものはありますか?

MEMS技術を応用したハンディタイプのデジタル分光装置は、小型で高速・高感度測定を実現しています。また、ベンチトップ装置とも同程度の性能を保持しており、数秒でスペクトル測定が可能です。製薬原材料やプラスチック原材料の受け入れの判別・判定に適する装置といえます。

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