用語集

掲載日:2023.5.16

コンタミ

コンタミとは、コンタミネーション(contamination)の略称です。

製品に混入した不純物であったり、または不純物が製品に混入することを指します。主原料とは違う物質が混入することを意味する場合が多いです。

なかでも製造工程では、まわりの雰囲気から製品に、加工屑や微生物、汚染物質などの不純物や異物が混ざったり付着したり、溶けこんだりする可能性が否定できません。

特に食品、医薬品、ハイテク製品の製造現場では、微量のコンタミによって商品価値が損失したり、品質・信頼性が低下したり、不良品などを招いてしまったりすることがあるため、コンタミの防止・

予防が重要な要素といえます。

なお、コンタミが無いように管理することをコンタミネーションコントロールといいます。

 

コンタミの種類と発生源

 

コンタミは、その正体によって大きく分類され、それぞれに固有の発生源と影響があります。

パーティクルコンタミ(固体異物による汚染)

 ●正体 微細な塵、ゴミ、作業者の毛髪や皮膚片、衣類の繊維、機械の摩耗粉、原材料由来の異物など

 ●影響 半導体製造では、回路パターン上に付着することでショートや断線を引き起こし、製品の不良や歩留まり低下の直接的な原因となります。食品製造では、異物混入として消費者の健康被害や企業イメージの失墜につながります。

ケミカルコンタミ(化学物質による汚染)

 ●正体 金属イオン(メタルコンタミ)、酸・アルカリ、有機溶媒の残留物、潤滑油、洗浄剤、ガス状の化学物質など。

 ●影響 半導体では、特に金属イオンがデバイスの電気的特性を大きく狂わせ、機能不全を招きます。また、自動車部品などの製造においても、金属粉やスラッジ(汚泥)が機器の摩耗や故障の原因となります。

バイオロジカルコンタミ(生物学的汚染)

 ●正体 細菌、カビ、酵母、ウイルス、微生物など

 ●影響 食品や医薬品(特に細胞培養や無菌製剤)分野で最も警戒されます。微生物の混入・増殖は、製品の腐敗や変質、消費者にアレルギーや感染症などの重篤な健康被害をもたらすため、徹底した管理が必要です。

     特にアレルゲン物質の混入は「クロスコンタミネーション(相互汚染)」と呼ばれ、原材料の切り替え時などに注意が必要です。

 

 

コンタミが企業に与える深刻な影響

コンタミを予防し、管理する活動を**コンタミネーションコントロール(CC)**と呼びます。これは「結果」ではなく「プロセス」の管理であり、「清浄な状態を維持し、汚染させない」という考え方が基本です。
具体的な対策としては、以下の例が挙げられます。

歩留まりの低下とコスト増 特にハイテク製品では、微細なコンタミが原因で多くの製品が不良となり、生産コストが大幅に増加します。

訴訟リスクとリコール費用 食品や医薬品で健康被害が発生した場合、多額の賠償金や「商品回収(リコール)」のコストが発生し、企業の財務を圧迫します。

ブランドイメージの失墜  一度の重大なコンタミ問題は、消費者の信頼を根底から揺るがし、長期的なブランドイメージの低下につながり、売上回復が困難になります。

 

 

徹底したコンタミネーションコントロール(CC)

コンタミは単なる不良品発生にとどまらず、企業経営全体に多大なリスクを及ぼします。

環境対策  クリーンルームの導入や、空気清浄度の管理(HEPA/ULPAフィルターなどによる空気循環)、温度・湿度コントロールが必要になってきます。

作業者対策 クリーンウェア、マスク、手袋の着用義務化と適切な着脱手順の徹底。特に毛髪や皮膚片などの作業者由来の汚染防止を重視します。

設備対策  定期的な装置の精密洗浄、部品の摩耗による発塵を防ぐための定期交換、サビ防止のための「表面処理(電解研磨など)」を施した器具の使用。

 

 

コンタミの防止は、単なる品質管理ではなく、企業が製品の安全と品質を通じて社会的な責任を果たすための重要な活動です。

 

 

 

 

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