回路素子・インピーダンス測定器

回路素子・インピーダンス測定器

今や人々の生活のなかに欠かせない電気を利用した機器。その電気的あるいは磁気的な特性を測定するための機器が回路素子・インピーダンス測定器です。これらの測定器で測定できる項目のなかには消費電力に直結するものがあり、低消費電力化の要求の高まりとともに注目度が上がっています。本ページでは回路素子・インピーダンス測定器とは何か、種類、メリット、活用事例、よくある質問などわかりやすくご紹介していますので製品の選定にお役立てください。

回路素子・インピーダンス測定器とは

まずは回路素子・インピーダンス測定器の概要を解説します。

回路の電流の流れにくさを測定する装置

回路素子・インピーダンス測定器は、回路の電流の流れにくさを測定するための装置です。

直流だけでなく交流も対象としており、抵抗(R)だけでなくインダクタ(L)やキャパシタ(C)成分の測定にも対応しています。

回路素子・インピーダンス測定器は、電子部品の特性の測定はもちろん、電池や腐食、医療、食品、木材やコンクリートといった材料の分野にも応用可能です。

身近なところでは体組成計における体脂肪率の測定に使われています。

幅広い周波数に対応した製品が存在

回路素子・インピーダンス測定器が測定できる交流の周波数は幅広く、μHzからGHzまで多種多様です。

ただ、幅広い周波数に対応した機器は一般的に高価であるため、測定器を選ぶ際はターゲットとする周波数を明確にしたほうがよいでしょう。

電子回路の特性を測定するネットワークアナライザ

ネットワークアナライザは測定対象の回路に対して順方向および逆方向の伝送や反射を測定するための機器です。

高周波においては回路間のインピーダンスが異なると電力ロスや信号の歪みの原因となるため、ネットワークアナライザを用いてインピーダンスマッチングがおこなわれます。

また、インピーダンスマッチングをおこなうための整合回路の開発にも応用可能です。

位相の測定も可能なベクトルネットワークアナライザ

ネットワークアナライザのなかには単なる周波数特性の測定だけでなく、位相の測定が可能なベクトルネットワークアナライザと呼ばれる製品があります。

従来は高価だったベクトルネットワークアナライザですが、最近は低価格化が進み、ベクトルネットワークアナライザも含め「ネットワークアナライザ」という名前で呼ばれることも多いです。

直流信号に特化したカーブトレーサ

主に半導体製品の直流特性を測定するための機器がカーブトレーサです。

測定対象に対して電圧を変化させながら印加し、そのときの電流を測定することでV-Iカーブを取得します。半導体製品は等価回路どおりに電流が流れるとは限らないため、このような測定が必要です。

最近ではより正確に特性を把握する必要がある、パワー半導体に対応した製品も多く登場しており、注目を集めています。

磁気を測定するB-Hアナライザ

電子回路のなかで抵抗、コイル、コンデンサとともに使われる磁石の特性を測定するのがB-Hアナライザです。

これはその名のとおり 磁気飽和を知るためのB-Hカーブを測定するためのもの。磁石の材料のなかには加工や熱処理によって磁気特性が変化するものがあり、B-Hアナライザを使用することで実製品の生産時に磁石の特性がどのように変化するのか把握できます。

回路素子・インピーダンス測定器の種類

回路素子・インピーダンス測定器の種類を解説します。

インピーダンスアナライザの測定方法

ブリッジ法

ブリッジ法は測定対象に加えて4つの素子を配置し、その中間に電流が流れない状態に測定対象以外の4つの素子のインピーダンスを調整することで、測定対象のインピーダンスを式から計算するという方法です。

高精度でインピーダンスを求められますが、電流が流れない状態にするバランス操作が難しく、かつ広い周波数範囲をカバーするのが難しいのが欠点です。

このため、測定器よりも標準器でよくみられる手法となっています。

I-V法

I-V法では測定対象に交流信号を加え、そのときに測定される電圧と電流からインピーダンスを求める方法です。

非常に直感的な方法ですが、回路内に存在するトランスによって測定可能な周波数が制限されており、10kHz〜100MHz程度の周波数でしか利用できません。

RF I-V法

RF I-V法はI-V法を改良してより広い周波数範囲での測定を可能にしたものです。

広帯域の電流トランスを利用することで3GHzの高周波数帯でも測定可能になっており、低周波数帯では後述の自動平衡ブリッジ法、高周波数帯ではRF I-Vがよく用いられています。

自動平衡ブリッジ法

自動平衡ブリッジ法はオペアンプを利用したインピーダンス測定法です。

オペアンプのゲインが自動的に調整される特性を利用しており、比較的低い周波数帯(110MHz以下)でよく用いられています。

従来はインピーダンスを求める計算をアナログ回路でおこなっていましたが、最近ではA/D変換器を利用したデジタルでの計算が一般的です。

ハンディタイプのインピーダンスアナライザも存在

インピーダンスアナライザというと大型のものが当たり前でしたが、最近ではハンディタイプのインピーダンスアナライザも登場しています。

ACアダプタのほかバッテリでも動作するため使う場所を選ばず、自社内はもちろん客先での解析にも役立つでしょう。

コイル試験機との連携ができる製品も

インピーダンスアナライザのなかには、コイル試験機と連携ができるものがあります。

対応している機器を接続することで、インピーダンスアナライザでインダクタンスの測定を、コイル試験機でインパルス試験や各種抵抗試験、耐圧試験を自動で実施可能です。

MATLABなどとの連携でテストを自動化

インピーダンスアナライザによる測定は手動のほか、PCとの連携で自動化できるものもあります。

PythonやCといったプログラミング言語はもちろん、MATLABやLabVIEWに対応した製品も存在しており、複雑な入力変化をおこなう必要がある測定も容易に実施可能です。

恒温槽との連携で温度特性を自動測定

B-Hアナライザのなかには恒温槽と連携できるものがあります。

これにより磁気の温度特性を自動的に計測でき、人手で温度条件を変えながら測定する必要がありません。

回路素子・インピーダンス測定器のメリット

回路素子・インピーダンス測定器を導入することによるメリットを解説します。

エコな製品を開発できる

人が利用する電力は増加の一途をたどっており、できるだけ消費電力が少ない製品開発が求められています。

消費電力の削減は容易ではありませんが、回路素子・インピーダンス測定器を利用することで比較的容易に低消費電力化ができるでしょう。

たとえばインピーダンスを測定してマッチングをおこなうことで電力損失を減らすなど、無駄な電力を少しずつながら着実に減らせます。

ユーザーの製品選びにおいて消費電力は重要な要素となっており、より魅力的な製品作りに回路素子・インピーダンス測定器は必須といえるかもしれません。

製品開発期間を短縮できる

回路素子・インピーダンス測定器を利用した測定は一般的に多項目であり、その間ずっとエンジニアが測定器のそばにいて操作しなくてはならないのでは人件費や工数の点で問題が発生するかもしれません。

最近の回路素子・インピーダンス測定器のなかには測定の自動化機能を備えたものが数多く存在します。自動的に入力を変えながら測定するのはもちろん、測定結果の自動判定や、異なる機器間の連携ができるものもあるなど、人がそばにいなくてはならない時間を大幅に短縮できるでしょう。

自動測定機能を備えた回路素子・インピーダンス測定器は一般的に高価ですが、長い目で見れば人件費や工数の削減により得になるケースもあるかもしれません。

活用事例

ネットワークアナライザを使ってインピーダンスを測定

被測定物(DUT)の電子回路網特性評価がネットワークアナライザを用いることで行えます。信号源と入力部を本体内部に持ち合わせた装置で、DUTに信号を流し反射特性や伝送特性を求めます。ほかにも、インピーダンスや入力信号の減衰などを測定可能です。

B-Hアナライザの実測データをJMAG等のシミュレーションなどに活用

板状の材料(電磁鋼板)、リング状コア(トロイダルコア)、パウダー(圧粉磁性体材料)などの軟磁性体材料を国際的な規格 IEC62044-3準拠したクロスパワー法(CROSS POWER MTTHOD)に対応した測定で磁性体材料の特性試験を確実に実現します。測定結果は、CSV形式で残せるので、他のシミュレーションソフトウエア用のデータに変換やレポート作成がしやすくなっています。

インピーダンスアナライザをインピーダンス測定ニーズにフル活用

インピーダンスアナライザは半導体デバイス・電子部品から素材・材料の特性評価まで、多くのインピーダンス測定ニーズに使用できます。幅広い周波数範囲で高確度な測定が可能なモードがあり、テストリード・テストフィクスチャも使用できるため、多彩な形状の試料にも対応可能。4端子接続や3端子接続も簡単に行えます。

質問集

自動平衡ブリッジ法とは?

LCRメータの計測回路として多く採用されている回路方式で、4つの端子(Hc,Lc,Lp,Hp)全てが測定対象に接続されます。それらすべてがBNCコネクタとなっていて、外部から検出信号や測定信号へノイズが混入しないよう、シールドで覆っている同軸構造となっています。検出回路の構造としては五端子法・四端子対法が一般的で、もっとも簡易的な構造である二端子法の欠点を解決できます。

カーブトレーサとB-Hアナライザの違いとは?

どちらも同じ測定原理を用いますが励磁方式が異なります。直流電源の出力波形を試料に励磁するのがカーブトレーサに対し、内蔵信号発生器の波形を試料に励磁するのがB-Hアナライザです。

小さなSMDを簡単に精度良く位置決めできませんか?

SMDサイズのテンプレー トとガイド溝により、簡単に精度良く試料の位置決めができます。SMD専用のテストフィクスチャがあります。マイクロプロービング技術により、小さなSMDに4本のプローブを立て安定した4端子測定を実現しています。

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